crush

拝啓、七尾旅人くん。
君はやばいもんつくっちゃったね。
いつかやりそうな気はしてたけど、君はとっくにつくっちゃってた。
幼稚園のお遊戯を思い出したよ。
1978年12月25日。教会の、誕生のお遊戯だ。
わたしはマリア様だった。イエス・キリストを抱いたよ。人形の、イエス・キリストを抱いた。
祝福のパイプオルガンが鳴り響き、ちいさなわたしは満足げな微笑をうかべて、空虚な世界の創造者になった。
2004年12月24日。わたしは彼を殺した。
それは異物。灰色の、分裂しない細胞の欠片。

嘔吐  嘔吐  嘔吐  通底音

愛してる なんて言わないで。
じゃなきゃ、わたしに、そのコトバを言わせて。

Disorder

あたしの身体のなかに蔓延っているヒステリーは、
レシピ通りに調味料を量れないような、
ピストルを口のなかに突っ込んで引き金を引きたくなるような、
近所の犬を殺したくなるような、そういう類のものだ。
だから、夕立を!
コールタールに沈みこんだ、口のきけない夏を
チェーンスモーカーの女の子のおしゃべりを
ファルセットの男の子の歌声を
無差別な抱擁とキスを

それは彼女で、彼女がそれだ

 なにかに熱狂しついには失神する、または原色のフィルターがかかる世界へのトリップ、ハルシオンブルーのパラドックス―― そんなカタルシスをずっと待ち続けている。